吉本章紘さんと須川崇志さんのDuo作品を聴きました。
『Oxymoron/Live at Apollo』
普段僕は、乗り物で真剣に音楽を聴く事は避けていますが、この作品は待つことが出来ず、Ipodに突っ込んで仕事帰りに電車で聴いてしまいました。 そこで驚いたのは、録音本体と電車や周りの音とのブレンドの仕方です。
本来何らかの録音作品を聴く場合、出来るだけ良い音でその音にだけ集中出来る環境で聴くのがベストとされ、ミュージシャン側もそういう事を前提に作品を作ると思います。
しかし、この作品は周りの雑音をものともせず、むしろそれさえをも取り込み、さらに音楽的に聴かせてくれる魅力を持っていると僕は感じました。本作品が全曲フリー(即興演奏)だから、という側面もあると思います。が、これは東京という土地で真剣に音楽に向き合っているお二人だからこそ生み出すことが出来た音なのではないでしょうか?
僕の居る(?)Jazzの世界では(勿論他の分野でもですが)「~サウンド」とか「~ビート」と言った表現がされて、何処何処&誰々風な音、リズム、フレーズがかっこいいとされる事が残念ながらよく有ります。しかしこれは、その時代にその土地に根ざした生活し、自分と言うフィルターを通して真剣に何かを表現した人にしか作り出せないものです。
吉本さんと須川さんのお二人は、この点と本気で向き合い(無意識かもしれませんが)、東京/日本という地で周りの音さえも音楽させてしまい、笑ってしまう(褒め言葉)音楽を作り出しています。
この作品は演奏会場で吉本さんから直接でないと手に入れられないそうです。それで良いと思います。生で生まれる音楽ですので。